当院の診察の様子を紹介する「今日の診察室から」。今日は、急に頻尿になったとの主訴で受診された40歳代女性のMさんです。

Mさん「昨日から急におしっこの回数が増えました。」
私「排尿時の痛みがありますか?」
Mさん「はい、特に排尿後に渋るような痛みがあります。」
私「熱は出ましたか?」
Mさん「いいえ、熱は出ていないと思います。」
私「腰の痛みはありますか?」
Mさん「腰の下の方が重い感じがします。」
私:腹部の診察をして痛みの部位を確認します。また、背中を軽くたたいて痛みが広がっていないかも確かめます。
私「それでは、尿検査をしますので、トイレをご案内します。」
・・・10分後・・・
尿を試験紙と顕微鏡で確認し、顕微鏡画像を映して結果を説明しました。
私「ご覧のように尿の中に紫に染まったツブツブがたくさん見られます。これは白血球という細胞で、感染が起きたときに見られます。よく見ると最近も見えます。細菌性の膀胱炎という診断になります。熱もないし背部にも痛みは広がっていないようですので、抗菌薬の内服で治療します。」

さて、ここでは膀胱炎の説明をしましょう。

膀胱炎の多くは膀胱の中に菌が入って中で繁殖することで生じます。症状は、排尿をするときに尿道や膀胱に痛みを感じる、尿をした後も尿が膀胱に残っている感じがする、何度も尿に行きたくなる、尿が濁る、血尿が出るなどです。通常は熱は出ません。
検査は、尿検査を行い尿中の白血球や細菌を確認します。何度も膀胱炎を繰り返す場合や、熱が出たり血尿が強い場合には、超音波検査や腹部のレントゲン検査を行うこともあります。また、細菌の種類を同定して抗菌薬の効果を確認する尿培養検査も行われます。
治療は、抗菌薬の投与を行います。通常5~7日で治癒することが多いのですが、なかなか治りにくかったり慢性化してしまうこともあります。市販されている膀胱炎の薬には抗菌作用がなく、痛みや違和感などの症状を和らげる作用が多少あるようです。これは非常に危険で、細菌が駆除できずに慢性化してしまう原因になります。必ず医療機関を受診するようにしてください。
効果注意することは? おしっこを我慢しないことが大切です。6時間以上我慢すると細菌が膀胱に侵入するとも言われているようですし、排尿により侵入しようとする細菌を洗い流す効果も期待できます。それから、水分をたくさん取ってください。1日1500ml以上の尿を出すと予防につながります。尿は本来きれいですから、ご自分の尿で膀胱を洗うつもりでたくさん水分を取りましょう。できれば、利尿作用のあるお茶がいいのですが、お水でもOKです。下腹部を冷やすことも禁物です。冷えると膀胱周辺の血液の流れが悪くなって膀胱の抵抗力が落ちてしまいます。あとは、しっかりとお薬を飲んで、体を休め、一週間ほどしたら再度尿の検査をしてもらってください。

 cystitis

馬車道さくらクリニック